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2006年5月のニュース

D●ソナー等の超音波探査器用の新素材開発中(2006年5月31日、アメリカUCB)
カリフォルニア大学バークレー校の研究者達は、ソナー等の超音波探査器に使用するための、ヘルモホルツ共振を応用した新素材を開発している。この新素材により、ソナー等の超音波探査器は大幅に小型化できるとのことである。
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-->Nature Materials誌の掲載文(Letter)の第一段落を読む(全文のダウンロードは有料)<--

R○熱帯は種の分化に有利(2006年5月31日、アメリカ フロリダ大学)
フロリダ大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校National Center for Ecological Analysis and Synthesis、ハーバード大学及びニューメキシコ大学アルバカーキ校の研究者達は、体のサイズ及び個々の代謝の温度依存性に基づいた数学的モデルを使用して、全地球的なスケールでの種の分化の速さについての予測を作成した。次に、化石及び遺伝データを用い、単細胞生物である有孔虫の、3千万年の期間でのDNAの進化及び種の分化について調べ、熱帯から極までの異なる温度の海域におけるこのタイプのプランクトンの新種の発生の時期を比較したが、その結果はモデルの結果によく一致した。単細胞生物は哺乳類等と異なり、体温は周囲の温度によって変化するので、環境による種の分化の速さをより正確に調べることができる。これらの結果によれば、有孔虫の新種が発生するには10の23乗ジュール(1ジュールは約0.239カロリーで、1Wの電力を1秒間使用した場合と同等)のエネルギーが必要との事であるが、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のAllen氏によれば、この研究により種の多様性をエネルギーの単位で定量化でき、これは種の保存や保護をするためには役に立つとのことである。熱帯では種の多様性が高いが、周囲の温度が高いと体温が上昇し、代謝率が増加し、結果として種の分化が速くなる。なお、この研究での重要な成果のひとつは、種の分化に必要なエネルギー量は一定であるということとのことである。
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-->Proceedings of the National Academy of Sciences掲載論文をダウンロード(PDFファイル、無料)<--

T●アイドリング中のジェット機の排ガスの現実的な炭化水素排出量は予想より多い(2006年5月31日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
Aerodyne Research Inc社のHerndon氏及びその同僚たちは、ボストンのローガン空港のフェンス外に駐車した実験室を積載したトラックで、風下に漂ってくるジェット機の排ガスを調査したが、その結果によると、実務状態でのアイドリング中のジェット機から排出される炭化水素は、据え付け状態にしたエンジンから得たデータに比べ40-90%も多いことがわかった。
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R○種多様性は生き残りに有利(2006年5月31日、アメリカNSF、ミネソタ大学)
ミネソタ大学の研究者達が実験場で1-16種の多年生草とプレーリーの草をランダムに植えた168プロット(編注:プロットとは一般に農業試験場などで、試験地を数十平方mの単位区画に分けるが、その区画の中に分けられたさらに小さな区画のことをいう。このように細分化した区画を実験計画法などに基づいて使用し、広大な試験場では場所により微妙に異なる自然環境条件の違いの影響をできるだけ排除できるようにする。)を用いて12年間行った実験結果によると、多くの種を含む生態系は単一種のみよりなる生態系より生産的で、気候の変動や病害に対して強いとのことである。プロットの中の植生の安定性は種の多様性および根の量に依存する。根は栄養を保存し、気候変動に対しバッファの役割を果たすが、多年生草はトウモロコシなどの農作品種に比べ、遙かに根の量が多い。ミネソタ大学のTilman氏によれば。多様な種からなるプレーリーの草原は単一種の草原に比べ240倍も生産的で、このようなプレーリーの草原のバイオマスは、エネルギーが必要で環境を汚染するような耕作、施肥や防虫作業をしなくても、多年生草であるため一度植えてしまえば、毎年秋に刈り取るだけでバイオ燃料を永久に収穫することができるとのことである。
-->NSFの記事を読む(上の文章はこちらの記事の概略です)<--
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R○大西洋のハリケーンの脅威の増加は人為(2006年5月31日、アメリカ ペンシルバニア州立大、MIT)
ペンシルバニア州立大学のMann氏とマサチューセッツ工科大学のEmanuel氏は地球全体の海面温度、ハリケーンの頻度、エアロゾル(編注:大気中の浮遊粒子。自然火災、土埃や海塩のような自然起源のものもあるが、大気汚染による人為起源のものもある。)の影響及びAtlantic Multidecadal Oscillation(AMO)と呼ばれる変動について調べた。AMOとはエルニーニョ/ラニーニャのサイクルよりも弱く、かつ、50-70年という長い周期でおきる変動であり、これがハリケーンの発生数の増加や強大化に大きく影響しているのではないかという説がある。しかし、両氏の研究によれば、ハリケーンの発生数の増加や強大化は熱帯大西洋の水温上昇に関係しており、この熱帯大西洋の水温上昇は地球全体の海面温度の上昇及び、エアロゾルの減少によるものとのことである。大気下層のエアロゾルは太陽光を反射し、温室効果ガスとは逆に地球を冷却する効果があるが、北米やヨーロッパからのエアロゾルは風により熱帯大西洋上空に移動し、この影響はハリケーンが最も活発な晩夏に最大となる。1950年から1980年にかけては海面水温は低下傾向にあったが、北米やヨーロッパの工業国では汚染防止対策が進み、エアロゾルの排出が減り、それに伴い80年代以後は温度低下傾向に歯止めがかかったためにこのような結果になったとのことである。なお、この研究結果はアメリカ地球物理学会(AGU)の週刊新聞EOS誌に掲載される予定である。
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-->MITの記事を読む<--

T●フランスに核融合実験炉を建設することに国際合意(2006年5月30日、アメリカ ウィスコンシン大学)
アメリカ、中国、EU、インド、日本、韓国及びロシアは、5月24日にブリュッセルにおいてフランス南部に最大500MWの出力を持つInternational Thermonuclear Experimental Reactor(ITER:ホームページは-->ここ<--)を建設することに合意したが、ウィスコンシン大学の研究者はこのプロジェクトに参加すると同時に、このプロジェクトのさらに先の研究も行っているとのことである。
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D●ポプラからバイオマス燃料(2006年5月26日、アメリカ ミネソタ大学)
ミネソタ大学の研究者は、地元で豊富なポプラからバイオマス燃料を得る研究を行っている。バイオマス燃料の原料としては、トウモロコシ等のように毎年収穫する品種に比べた場合、ポプラは5-15年に一度の伐採になるので、土壌浸食等をおこしにくいという利点を持つ。
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T○熱帯森林の管理は改善したものの、95%はまだ危険(2006年5月25日、ITTO)
International Tropical Timber Organization(ITTO:国際熱帯木材機関、本部は在日本で日本語のホームページは-->ここ<--。ただし、この記事は6月2日現在において邦訳未掲載)はアジア、太平洋、南米、カリブ海及びアフリカの33ヶ国の熱帯地域における熱帯の森林の状態を調査し、"Sustainable Management of Tropical Forests Worldwide Since 1988"(-->ここ<--で参照可)という報告書にまとめて公表した。これによると、持続可能な管理が行われている熱帯の森林面積は1988年の100万ヘクタール以下から、2005年の3600万ヘクタールにまで拡大したが、これは世界中の熱帯森林の2/3にあたる全調査域8億1400万ヘクタールの5%以下である。熱帯森林は数十年にわたって脅威にさらされており、現在は毎年1200万ヘクタールの森林が農業活動等により消滅し、それ以外にさらに多くの森林域が不法伐採などにより持続不可能な状態になりつつある。調査域はITTOが定義するPernanent Forest Estateにあたるが、Pernanent Forest Estateとは、大抵は政府である所有者がその森林を保護地域に指定するか、持続可能な管理を行う意図を持っている場合である。この報告書によれば、熱帯森林を持つ多くの国で、熱帯森林を保護するプランが十分整備されていなかったり、プランがあっても実行・管理されていなかったりしているとのことである。しかし、全体としては1988年に比べ現在では管理されている森林域が増加し、また、独立した組織が森林管理の状態を証明するようになる等、状況は好転している。なお、森林管理が適切に実行されていない国々のなかには、紛争などのために、政治的経済的に安定していない国々もある。不法伐採の防止を含む熱帯森林の保護をさらに進めるためには、それに必要な人材、機材や資材を増やす必要があると同時に、森林域を持続可能な森林域に指定した場合の経済的なメリットを増やす必要があるとのことである。
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T○NASA/NOAA、静止衛星GOES-N(13)打上に成功(2005年5月25日、アメリカNOAA)
アメリカは、新型の静止気象衛星GOES-N(13)の打上に成功した。この人工衛星は、主に画像により天候の状態を観測し竜巻やハリケーンの追跡などに使われるが、太陽風の観測や通信を中継するような機能も搭載しており、今後6ヶ月にわたるテストの後は現在稼働中の人工衛星が作動不良になる迄は、一時的に休止状態におかれる。
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R○過剰な漁獲がカリフォルニア南部の昆布(Kelp)林の生態系を危機に(2005年5月25日、アメリカUCSB)
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者が、National Park Service(編注:主に国立公園の管理・運営を行うアメリカの政府機関)が収集したカリフォルニア中部Channel諸島周辺の16カ所の昆布林群における46種の海洋生物のデータ及び人工衛星より観測した海洋の色から見積もった栄養塩に関するデータを用いて、陸上からの肥料や下水等による栄養塩の流入と漁獲が昆布林の生態系に与える影響について研究を行った。その結果によると、陸上からの肥料や下水の流入については、その量が極端でない限り昆布林の生態系にはそれ程の影響を与えないが、昆布林の生態系の食物連鎖の頂部にある岩魚のような魚を大量に漁獲すると、それらの魚が通常補食する巻貝やフジツボの類が増え、これらによって昆布が食べられ、結果として、昆布林の生態系に重大な影響を与えるとのことである。この研究結果はScience誌に発表された。
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-->Science誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●熱帯域が拡大(2006年5月25日、アメリカ ワシントン大学)
気象衛星で観測したデータを用いて研究を行っているワシントン大学およびユタ大学の研究者によると、1979年に比べ熱帯域が緯度で2度程度南北に拡大しているとのことである。さらに、この熱帯域の拡大は、亜熱帯ジェット気流が南北両半球で極方向に緯度で1度程度移動したためのようで、この原因が温室効果ガスの放出等による人為的なものなのか、自然に起こる変動なのかはわからないが、北米や地中海の亜熱帯域で現在起きている干ばつを含む、異常な乾燥状況はこれに関連しているかもしれないとのことである。
-->ワシントン大学の記事を読む<--
-->ユタ大学記事を読む<--
-->Science誌掲載の論文の要旨を読む<--
-->この件に関するシアトルの新聞の記事を読む<--

D●川魚の行動の観測(2006年5月24日、アメリカNOAA)
ニュージャージー州JamesJ.Howard実験所の科学者達は、Navesink川に川のどの部分を魚が捕食のために通過し、なぜ異なる季節の異なる時間にその部分を通過するのかを研究するために、魚の外部及び内部にタグを装着し、それらを検出する数十個の聴音器を設置した。
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D●自己発電式の小型水素ガスセンサー開発中(2006年5月24日、アメリカ フロリダ大学)
次世代燃料として注目を浴びている水素が自動車や燃料電池といったいろいろな用途に広く使われるようになると、爆発事故等を防ぐための水素ガス漏れ検知器が必要となるが、フロリダ大学の研究者達は自己発電方式で多数の検出ノードを直列につなげられるようなセンサーを開発している。
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T○地上の火災を人工衛星で監視(2006年5月24日、ヨーロッパESA)
ESAは人工衛星より得た地上の火災の状況を、データ取得6時間後にオンラインで得られるようなATSR World Fire Atlas(WFA:世界火災地図-->ここ<--よりアクセス可。ただし要ユーザー登録)の運用を開始した。データとしては地図以外に、38.85度Cまたは34.85度C以上のホットスポットの緯度経度、日時も含まれており、1995年から現在迄の期間のものが存在する。このデータはESAのERS-2及びEnvisat衛星搭載の放射計により得ており、石油精製設備における放出ガスの火炎が検出できる程であるが、前述のように閾値が低いため、周辺の非火災領域の温度が低い夜間のデータが有効となる。なお、火災の状況を知ることは気候変動の研究に重要で、世界全体では5千万ヘクタールの森林が毎年焼失しているが、これによる2酸化炭素等の放出などにより、温室効果ガスの収支に大きな影響を与えている。例えば、1998年のエルニーニョでは、ボルネオ中の火災で、ヨーロッパ全体のその年の排出量に匹敵する最大25億トンの2酸化炭素を放出した。
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T○屋上庭園は効果有り(2006年5月24日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
カナダのトロント大学の研究者は、マドリッドにある8階建てのアパートの屋上に植物を植えると、空調の必要が6%減り、全体のエネルギーの消費が1.2%押さえられるとの研究結果を発表した(論文の要旨は-->ここ<--)。屋根に植物を植えるのはヨーロッパでは人気があり、アメリカでも最近増えつつある。既存の建物の屋根に植物を植える場合は、軽くて乾燥に強いセダム(編注:日本でも使用されている。外形は種類によってかなり異なる)のような低草が用いられるが、新築の場合で設計時に考慮されていれば、より重い通常の草花、野菜や木などを植えることも可能となる。屋根に植物を植えた場合のメリットとしては、建物の空調に使われるエネルギーの節減以外にも下水へ流れる降水中の栄養塩や有毒物質の削減及びそれに伴う汚染の減少があり、トロント市ではこのような効果すべてを合わせるとコストを上回る利益があるとして、物理的に可能な限り市が所有する全ての建物の屋根に植物を植えることにしたとのことである。
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R○3峡ダム、栄養塩も堰止め(2006年5月24日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
中国の揚子江の3峡ダムの堰止めは2003年6月より始まったが、それに伴い堆積物や栄養塩も堰止められるようになってしまった。台湾及びアメリカの研究者によれば、東シナ海では窒素/珪素比(編注:窒素は栄養塩)は1998年から2004にかけて1.5から0.4にまで減少し、揚子江からの堆積物輸送量は半分になった。揚子江河口域では基礎生産(編注:プランクトンレベルでの海洋の豊かさを表す。)は86%迄減少し、以前は淡水であった流域にまで塩水が侵入するようになった。この研究成果は4月15日付けのGeophysical Research Letters(論文の要旨は-->ここ<--)に発表された。
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D○菓子工場からのゴミで水素を生成すると同時に廃棄物を削減(2006年5月23日、イギリスEPSRC)
イギリスのバーミンハム大学の研究者は菓子工場及び飲物工場より出されたゴミをバクテリアに食べさせて水素を生成するという技術に関し、実現可能性をテストするための実験室レベルの実験を行った。この実験でヌガー及びキャラメルの製造工程から出た廃棄物を薄め、それを容量5リットルの実験用容器にバクテリアと共に入れると、バクテリアは廃棄物中の糖分を食べ、水素、有機酸及び2酸化炭素に分解する。このうち、2酸化炭素は大気に放出されないように回収し、有機酸は別の容器の中の最初のバクテリアとは異なる別のバクテリアに与え、さらに水素を発生させる。発生された水素は燃料電池に送られ、そこで空気中の酸素を用いて発電を行う。また、この一連のプロセスの結果の残存物はクロムやPCBを除去するためのプロジェクトで触媒として利用される。この実験の経済性を評価した会社によれば、この実験をもっと大きなスケールに拡大して行っても経済的に現実的であるとのことである。現在菓子工場からのゴミのほとんどは廃棄物として埋立処理されているが、この技術が実現すると廃棄物が減らせるだけでなく、ゴミを利益に変えることができるようになる。
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R○熱帯林は窒素を大気に放出(2006年5月22日、アメリカ プリンストン大学)
プリンストン大学の研究者によれば、熱帯森林地帯の土壌に存在する特別なバクテリアによって、森林が吸収した窒素の最大半分が毎年大気に放出されているとのことである。現在のところ、このバクテリアが地球の気候に良い影響を与えるのか、悪い影響を与えるのかは不明であるが、土中の栄養素や森林の成長には影響を与え、また熱帯の森林は地球の気候に大きな影響を与えるので、気候を研究するためのモデルには影響を与えることになる。なお、熱帯森林は窒素やその他の栄養素を保存し、漏出しないと従来は考えられていたとのことである。
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T●ドイツ、海底掘削ドリル装備の砕氷型観測船を建造予定(2006年5月22日、ドイツAWI
ドイツは海底掘削ドリルを装備し、冬季の北極海でも観測作業が可能な全長178m、全幅40m、喫水10.2mの大型砕氷型観測船Aurora Borealis(トン数不明、ドリル用の櫓の高さは甲板から50m程度?)を建造する。なお同船はドリル用以外に測器用のムーンプールを装備し、海底掘削時には結氷域でも砕氷しながら位置保持が出来るそうである。
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T○深海珊瑚礁で難病治療用の化学物質を探索(2006年5月22日、アメリカ マイアミ大学)
昨年12月にマイアミ大学のRosentiel School of Marine and Atmospheric Science(RSMAS)の研究者はフロリダ海峡の2000-2900フィート(約609.6-883.9m)の深さで珊瑚礁を発見したが、今年の5月にRSMASの研究者はHarbor Branch Oceanographic Institutionの研究者と共に、潜水艇を用いてこの珊瑚礁の生態系を調査すると同時にこの珊瑚礁の生物より、ガンやアルツハイマーといった難病の治療に利用できるような化学物質の探索を行う。
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T○今年のハリケーン発生予測(2006年5月22日、アメリカNOAA)
NOAAによれば、今年のハリケーンシーズン期間中(6月1日ー11月30日)の北大西洋では13-16個の名前を付加する嵐があり、そのうち8-10個はハリケーンとなり、さらにそのうち4-6個はカテゴリー3以上の強ハリケーンとなるだろうとのことである。なお、平均のシーズン期間中の発生件数は名前を付加する嵐が11個で、そのうち6個がハリケーンとなり、さらにそのうち2個が強ハリケーンとなるが、昨年は記録的で28個の名前付き嵐が発生し、そのうち15個がハリケーンとなり、さらにそのうち7個が強ハリケーンとなり、その強ハリケーンのうち記録的な数の4個がアメリカを直撃した。NOAAによれば、今年のハリケーン発生は昨年ほどではないが、それでもハリケーンがアメリカを直撃する可能性は高いとのことである。現在は比較的海面水温は高く、風は高度によらず比較的一様で、貿易風は弱く、大気中層の風はハリケーン発生に好都合なパターンになっているといった、ハリケーンの発生及び強大化に好都合な状況となっている。1995年以後は数十年周期の気候のパターンが大気と海洋に現れており、その年以後はエルニーニョが発生した1997年と2002年を除くすべての年でハリケーンの発生は平均以上となっている。次の3-6ヶ月間にはエルニーニョやラニーニャは発生しない見込みであり、これらの現象の影響は今年のハリケーンには無いものと考えられている。
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R●地球温暖化;予測よりも高温になる?記事1(2006年5月22日、アメリカUCB)
南極で採取した氷河期や間氷期を含む36万年分のレコードが含まれる氷柱を用いて過去の気温、2酸化炭素及びメタンの量を研究しているカリフォルニア大学バークレー校の研究者によると、人為的な地球温暖化により暖められた海洋および地表からの自然現象としての温室効果ガスの放出によって、温暖化のレベルは現在予測されている1.5~4.5度Cではなく、より高温の1.6~6度Cの範囲になるのではないかとのことである。
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R●地球温暖化;予測よりも高温になる?記事2(2006年5月22日、アメリカAGU)
オランダ、ドイツ及びイギリスの研究者達(記事1とは異なる研究者)は極で採取した氷柱を用いて比較的近年の約1550年から1850年に起きた小氷河期の期間の気候について詳しく調べたが、それによると人為的な地球温暖化により暖められた海洋および地表からの自然現象としての温室効果ガスの放出によって(記事1と同じ理由)実際の気温の上昇は、このような放出を考慮していない予測を15-78%上回るかもしれないとのことである。なお、この研究ではメタンの影響は含まれていないので、実際はさらに高くなる可能性もあるとのことである。
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D○学生が無人潜水機を開発(2006年5月19日、アメリカRIT)
ロチェスター工科大学の工学専攻の学生は400フィート(約123m)迄潜水可能な遠隔操作型無人潜水機(ROV)を2学期の期間(編注:アメリカの大学は夏学期を含めると一年が4学期に分けられる。休みを除くと1学期は2ヶ月半程度)で設計・制作し、同校のプールでテストを行った。このROV、Explorer(写真は-->ここ<--)はアルミのフレームを持ち、重量(多分空中重量)約27kgで最大4台のビデオカメラ、4台の大照度ランプ、コンパス(方位磁石)、タイマー、圧力及び温度のセンサーを搭載し、4台のスピード可変の上下左右動、回頭、前・後進用モーター及び100分動作可能な容量のバッテリーを装備し、680フィート(約207m)の光ファイバーのケーブルで水上より操作される。学生はこのROVの電子基盤のほとんどやソフトウェア及びROV操作用のグラフィックユーザーインターフェースなどを自作した。このROVの制作費用は15000ドルで同様の既製品は2~5万ドル程度するとのことである。なお、今後このROVはオンタリオ湖および大西洋の沈没船の探索に用いられる予定である。
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R○高山の雪がなくなる?(2006年5月18日、アメリカPNNL)
アメリカのPacific Northwest National Laboratory(PNNL)の研究者が格子間隔5kmの高解像度気候モデルを使用して1977年から2100年迄の世界各国の高山の雪の量についての研究を行った。その結果によると、2100年における個々の地域の積雪量を2000年の積雪量と比べた場合、アラスカでは64%、アルプスでは61%,スカンジナビアでは56%,北米のシエラ、カスケード及び南ロッキーでは57%,アンデスでは45%,ニュージーランドのクック山およびその周辺では16%と相当減少し、気候変動の影響を最も強く受けるのは温帯地域の高山とのことである。使用されたモデルでは、各山は高さにより10クラスに分けられ、それぞれの高さのクラスについて、大気の流動、湿度、気温その他により降雪量を計算している。ただし、実際の現場のデータによれば、キリマンジャロ山やグリーンランドの雪氷は減少しているが、モデルではこれらは再現できておらず、モデルには限界があるとのことである。なお、高山の雪氷の減少は春ー夏期の融雪水の減少を招き、それらの水資源を利用している人々に重大な影響を与えることになる。
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R○地球温暖化に伴う高緯度域の植物の変化(2006年5月18日、アメリカWHRC)
ウッズホール研究センターのBunn氏を中心とするグループは、グリーンランドの氷河を除く北緯50度以北の陸地全体の植物の光合成の状況を22年間にわたる人工衛星のデータで調べたが、それによると、5月から8月の植物の成長期にはツンドラ地帯では緑化の傾向があるが、森林地帯は5-6月は緑化するが、7-8月にはそれを打ち消す茶化が生じ、結果として、地球の温度が上昇するにつれ、北方の森林が当初の予想していた程大気の2酸化炭素を捕捉・貯蔵してくれない可能性が出て来たが、詳細はさらなる観測が必要とのことである。この研究成果はEarth Interactions(論文要旨は-->ここ<--)に発表された。(編注:北半球に比べ、南半球は高緯度にはほとんど陸地がない)
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R○異なった時間スケールの気温の変動は互いに関係有(2006年5月18日、アメリカWHOI)
ウッズホール海洋研究所の研究者は、地球上の異なった時間のスケールの気温変動は、以前に想定されていたよりは互いに密接に関連している事を見出した。この発見は、個々の地域または時間という小さなスケールで観測された気候をもっと大きな空間及び時間のスケールの視点で考慮することの手助けとなる。ウッズホール海洋研究所のHuybers氏によれば、異なった時間のスケールの気温変動間の関係は非常にはっきりとしており、ある地域の気温の季節変化の大きさを調べれば、その地域の10年程度の時間スケールの気温の変動をかなり正確に予測することができるほどとのことである。ただし、これよりさらに時間スケールの大きな数千年から数万年といったような時間スケールの気温の変動については、地球の軌道の変動に伴うミランコビッチ周期による変動に従う。Huybers氏によれば、全体的な印象としてはエネルギーは1年及びミランコビッチの周期において気候システムに加えられていて、これらの周期での気温の変動を引き起こすが、1年やミランコビッチの周期より大きく異なる時間スケールでの温度の変動は地球全体で似たようなものとなっているとのことである。また、同氏によれば、異なった時間スケールの気温の変動の関係に関する知識は過去の気温の変動の理解、気候変動モデルの向上や気候変動の予測に役に立つとのことである。
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T○ウッズホール海洋研究所、各種画像をオンラインで公開(2006年5月18日、アメリカWHOI)
ウッズホール海洋研究所は1930年の創立以来の集められた36000以上の画像やイラストの公開をオンラインで始めた。-->ここより公開先に移動(一般ユーザーはユーザ名、パスワード共にguestでログイン可)<--
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R○ダイオキシンの生物への影響の差(2006年5月18日、アメリカWHOI)
カモメの一種であるアジサシは、ダイオキシンに汚染された魚類を食べるにもかからわず、鶏に比べあまりダイオキシンの害を受けない。ウッズホール海洋研究所によれば、この2種類の鳥へのダイオキシンの害の違いは生体のタンパク質である炭化水素基のリセプター(AHR)にあり、鶏の場合はAHRがアジサシのものに比べ7倍もダイオキシンが結合しやすく、この違いは2種のアミノ酸によるとのことである。さらに、このような研究の結果を用いて、他の野生動物の遺伝子を調べることにより、その動物へのダイオキシンの害を予想できるようになるかもしれないとのことである。
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T米キャタピラー社中国で石炭炭坑メタンによる発電プロジェクト受注(2006年5月18日、アメリカEPA)
アメリカのキャタピラー社はEPAその他の連邦機関の援助を受け、中国での石炭炭坑からのメタンによる発電設備を受注した。この設備の出力は120メガワットで、石炭炭坑からのメタンによる発電所としては最大で、受注額は5800万ドルに上る。この設備により、年間450万トンの2酸化炭素に相当する排出が抑制されるが、これは自動車100万台の排出量に相当する。このプロジェクトはアメリカの官および民間が共同で主導して、他に中国を含む17ヶ国が参加している、Methan to Markets(メタンを市場に)協力体の成果であり、アメリカは次の5ヶ年で、この協力体に5300万ドル支出する予定である。なお、この協力体は温室効果ガスであるメタンを回収してクリーンなエネルギー源(編注:メタンを燃焼させると2酸化炭素は発生する。多分メタンそのものを直接排出するよりはましという意味)として有効活用する目的で2004年11月に立ち上げられた。
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T○4月の世界及びアメリカの気候概観(2006年5月16日、アメリカNOAA)
陸上及び海上をあわせた地球全体での4月の平均気温は、20世紀の平均値を0.49度C上回り、信頼できるデータが得られるようになった1880年からの記録では7番目に暖かであったことになる。地域別では、北米の大部分、ヨーロッパ及びスカンジナビアでは平年より上回り、ロシア中央部からアジア極東域にかけては平年を下回った。イエメン、コロンビア、東ヨーロッパ、オーストラリア北東部、インドネシア及びアルゼンチン北部では、多量の降水及びそれに伴う洪水が4月を通して発生した。アメリカの4月は1895年以来最も暖かく、20世紀の平均値を2.5度C上回った。この高温偏差は特に南部中央で顕著であり、アラスカやハワイを除く全米48州で平均値を下回った州はなかった。このため、家庭でのエネルギー需要は平年よりも12%程度減少したと見積もられている。降水についてはアメリカ全体ではほぼ平年並みであったが、西部及び北部中央では降水が多く、カリフォルニアの北部及び中部沿岸域や谷間では洪水が発生した。これに対し、アメリカ南東部及び南西部の広い地域では平年よりも乾燥し、南部中央や南西部では干ばつ状態が継続している。また、乾燥状況は北東部の一部からフロリダ、メキシコ湾岸地帯にも広がっている。その他、4月前半には中西部や中部平原地帯から南部の広い地域では竜巻が多数発生した。
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D●MITでの熱光起電力発電機を自動車に搭載する研究(2006年5月15日、アメリカMIT)
マサチューセッツ工科大学では自動車搭載の各種電装品に必要な電力を効率よく発電するために、少量の燃料で強い光を作り、それを半導体素子で直接電力に変換する熱光起電力発電(thermophotovoltaic)機の研究を、新しい素材や技術を用いて行っている。なお、MITで研究されている熱光起電力発電機はオルタネータや、発電機の代替を目標としており、自動車のエンジンそのものの代替は考慮されていない。
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R○アフリカの高山の氷河消滅の危機(2006年5月15日、アメリカAGU)
コンゴおよびイギリスの研究者によると、アフリカのコンゴとウガンダの国境付近にあるルウェンゾリ山地(Rwenzori、月の山。標高5109mで世界遺産)はアンデス山脈以外では世界で四カ所しかない、熱帯域で雪氷がある地帯で、一世紀前は氷河は6.5平方キロの面積を覆っていたが、1987年から2003年にかけて半分以上消滅し、現在は1平方キロ未満しか残っておらず、今後20年以内にすべて消滅すると予測された。ロンドン大学のTaylor氏によれば、キリマンジャロやケニア山を含む東アフリカ高地での氷河の減少の原因については、高温化によるという説と、降水量の減少によるという説があるが、ルウェンゾリ山地の場合は降水量にはそれほど変化はないが、気温は1960年以後明らかに上昇しているとのことである。この氷河の消滅による水資源への悪影響はないと考えられているが、観光や地元の信仰に与える影響については不明で、Taylor氏によれば、アフリカは温室効果ガスの排出をほとんど行っていないにもかからわず、現在の予測では最も気候変動に影響されるということになっているのは大変皮肉なことだとのことである。なお、この研究成果は5月17日付けのGeophysical Research Letters(論文要旨は-->ここ<--)に発表された。
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D○太陽光エネルギーで水分解し、水素と酸素によるエネルギーを獲得(2006年5月15日、アメリカMIT)
光合成における光子エネルギーから化学ポテンシャルへの変換の原理を研究し、水を水素と酸素に分解するために必要なエネルギーを光子の吸収により得ようとしている(編注:通常の水分解は、このような方法と異なり電力を必要とする)MITのNocera氏によれば、太陽光と水によるエネルギーは将来の需要を十分満たせる容量があるが、それを実現するためには工学的なアプローチのみでは不可能で、基礎科学の発展が必要であるとのことである。同氏によれば、もし、環境に悪影響があり、価格が上昇し、また、国家安全保障の面(編注:9/11以後のアメリカでは国家安全保障についての国民の関心は非常に高いが、イラク等に関し中東政策が成功しているとは思っていない国民も多く、また最近中南米の産油国でアメリカと距離をおく政権が誕生した等の点で、政治的には非常に重要なポイント)でも問題のある化石燃料にエネルギー源を頼るという現状を大きく変えたいならば、次の10年以内にこのような基礎科学を発展させ、それにより政策やインフラの整備が行えるようにすることは重要であるとのことである。
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R○地球温暖化に伴う低海抜地帯での災害の危険(2006年5月12日、アメリカ コロンビア大学)
コロンビア大学及び International Institute for Environmant and Developmentの研究者によると、地球温暖化に伴う海面上昇及び強大化した台風等の嵐による高波によって、世界中の多くの大都市が災害の危機に直面し、現在世界全体の人口の10%は海抜10m以下の沿岸地帯に住んでいるが、このような人々は被災しやすくなるとのことである。また、特に低開発国や低所得国においてはこのような低海抜地域における被災の危険性は高いが、先進国でも被災の可能性はあり、アメリカは低海抜地に多くの都市があるので、被災の危険性が特に高いとのことである。(編注:現在ニューオーリンズの復興は終わっておらず、はたして市全体を復興すべきかどうかという議論さえある。)なお、研究者によると、単一の地理的又は経済的な指標でこのような災害の危険性を予測することはできず、異なるタイプの都市や沿岸地帯に対する危険性を見積もるためには、より詳しく調べる必要があるとのことである。
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R○大気汚染と温室効果ガスの相剋により南アジアで干ばつ等発生(2006年5月11日、アメリカSIO/UCSD)
スクリップス海洋研究所のChung氏およびRamanathan氏の研究によれば、インド洋北部では浮遊粒子による大気汚染のため日射が遮られ低温となったが、インド洋南部では温室効果ガスにより高温化した。このためモンスーンによる降雨域が南アジアから赤道や南インド洋に南下し、その結果インドでの降水が減少し、インド洋及びアフリカのサハラ南部で降水が増加したとのことである。なお、南アジア及びインド洋北部での褐色雲等による地表での日射量の減少は1930年から2000年の期間で最大7%で、インドでの降水の減少は1950年より約5~8%ということである。ただし、シミュレーションによる研究結果によれば、大気汚染を減少させた場合、インドでの降水は増加するが、地球温暖化により温度は上昇すると推測されるとのことである。なお、このような汚染雲はアジアのみではなく、世界各地で見られ、汚染雲の移動は早いので、大気汚染はもはや都市固有のものではない。
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D○アラスカでのコンクリート製人工漁礁の試験設置(2006年5月10日、アメリカNOAA)
NOAAの専門家は、事前に計画しモニターする人工漁礁としてはアラスカでは初めての人工漁礁をウィッティア(Whittier 編注:-->この地図(日本語)<--の中央下方にあり。市の公式ホームページは-->ここ<--)近くのプリンスウィリアムス水道(編注:1989年にエクソン社の大型タンカーがこの水道内で座礁し、重油汚染を起こした)に設置する作業を開始した。NOAAのKurland氏によれば、アラスカでは沿岸の開発のため魚類の生息域が減少し続けているので、この減少を補う必要があるとのことで、このプロジェクトはアラスカでのコンクリートによる人工漁礁の魚礁としての有効性をテストし、記録するために行うと同時に地元のダイバーにとってのダイビングスポットや教育・研究の場としても提供するとのことである。このプロジェクトで使用されるコンクリートの構造体はボール状のものとピラミッド状のもの2種類で、通常のコンクリートと異なりPH値(編注:ペーハー、酸性/アルカリ性を示す値。中性の場合は7.0)は海水に近い値になるようなものを使用している。このようなコンクリートの構造体による人工漁礁はアラスカより南の海域では成功している。NOAAのAmmann氏によれば、アラスカの場合は生物の定着は南方の海域よりは時間がかかると考えられ、人工漁礁としての有効性を知るためには、定着の進行状況や定着する藻類、無脊椎動物や魚類の種別を調べることが重要とのことである。このプロジェクトはNOAA、U.S.Fish and Wildlife Service(編注:アメリカ連邦政府機関)、プリンスウィリアムス水道科学センター、南アラバマ大学及びAlaska Marine Lines(編注:民間船会社。ホームページにアラスカやシアトルのwebカメラあり)の共同で行われる。この人工漁礁の観察は5年間おこなわれるが、特に最初の2年の観察は重点的に行われるとのことである。
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D○超音波及び遺伝子組み換えした藻で汚泥の水銀除去(2006年5月10日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
オハイオ州立大学土木工学の大学院生であるHe氏は、水銀で汚染された堆積物、水及び遺伝子組み換えを行った重金属を吸収する藻類が入ったビーカーに超音波を加え、堆積物より水銀を除去する実験結果をアメリカ化学学会で発表した。これによると、汚泥と水の入ったビーカーに超音波を加えると、細かな泡が水中に発生し、この泡が破裂する際に汚泥中の水銀を解放し、藻類がこの解放された水銀を吸収する。この方法で30%の水銀が除去できたが、研究者によれば除去量をさらに上げることも可能とのことである。なお、この方法は魚類や他の野生生物に害を与えることはないので、汚泥を浚渫して処理する等の手間をかけずに、汚染した地域に装置を直接設置し処理できるが、水銀を吸収した後の藻類は、有毒な産廃として回収し処理しなければならない。
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D○牡蠣養殖で水質浄化(2006年5月10日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
ウッズホール海洋研究所、海事政策センター(Marine Policy Center)のKite-Powell氏はアメリカマサチューセッツ州のWaquolt湾(同湾保護区の案内は-->ここ<--)で牡蠣を養殖し、その牡蠣に富栄養化した海水中の窒素を餌の藻や植物プランクトンを介して吸収させることによって水質を浄化させようとする試験を行っている。Waquolt湾はおよそ500ヘクタール(500万平方m)の広さで、平均水深は約1.2mあり、流入する河川等の水源の後背地の面積は3800ヘクタールあり、湾内と湾外との海水の交換率は1回の干満で25%程度と見積もられている。この湾への現在の窒素の流入量は1938年時に比べ2倍以上の年間24.3トンとなり、その48%は糞尿等の生活排水と見られている。下水処理施設や浄化槽の改善等によりこの湾への窒素流入量を減らことも技術的には可能だが、コストが高すぎるし、また、大気からの窒素流入については、地元での対策だけでは対処できない。これに対して、貝類による水質浄化は安価で行え、また地元で容易に管理できる。しかし、この方法の問題は、牡蠣の養殖場がボート遊び、水泳、魚釣りや漁業といった湾の水面の他の利用とは排他的で邪魔になり、また、景観も悪くなる等の理由で設置場所や占有面積が制限されてしまう点にある。(編注:アメリカでは日本と異なり、レジャー目的での水面利用や魚釣りの権利は商業漁業者と比べ決して低くない等、レジャー利用者を無視できない。また景観保護目的での地方自治体の条例も、他家から見える自家の庭の芝刈りを怠った程度で罰金を科せられる場合もある等、日本に比べれば強力。このような点で、ここで説明されている方法は、政治的な配慮が必要であり、Kite-Powell氏が海事政策センター所属であることの意味があると思われる)ロードアイランド大学のRice氏によれば、牡蠣5000匹で旅行者1人が加える窒素を吸収できるとのことであり、Kite-Powell氏によれば、Waquolt湾の場合は水面の6%を養殖場にすれば、流入した窒素のうち年間6トン程度吸収でき、夏期の藻の大量発生は防げるだろうとのことである。なお、養殖した牡蠣は食用として出荷されるようである。
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T○アメリカ、コンピュータに関する環境を考慮した初めての規格を発表(2006年5月9,10日、アメリカEPA)
この基格はデスクトップパソコン、ノートパソコンやモニターを大量に購入する組織が、それらの製品の購入、使用及び廃棄する際に環境に与える影響を削減するのを助けるために作成され、材質の選択、環境に対し要注意な素材、廃棄処理時のためのデザイン、廃棄処理時の管理、エネルギー節約、製品寿命の延伸、梱包及びパフォーマンスといった8つの項目についての基準を与える。これにより、製造業者に対し製品がより長期間使用でき、よりエネルギーを節約し、アップグレードやリサイクルがより容易にでき、かつ危険な物質をより少なく使用するようなものになるよう促することになる。この新規格はIEEE1680-2006と呼ばれ、これに合致したコンピュータ製品の登録は2006年6月より行われるが、アメリカの国家機関や民間組織は既に210億ドル以上のIT製品の契約や要求においてこの新規格を参考にしており、各省庁はIEEE1680-2006が有効になるとすぐIEEE1680準拠製品を購入すると考えられる。EPAによれば、IEEE1680-2006準拠製品の購入により、次の5年間で、400万ポンド(編注:1ポンドは約453.6g)以上の危険な廃棄物の削減、100万ポンド以上の通常の廃棄物の削減、20万MWh以上のエネルギーの節約ができるとしている。
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R○チベット上空の雷嵐が大気下層から水蒸気や化学物質を成層圏に運搬(2006年5月9日、アメリカNASA/JPL)
水蒸気がどのようにして大気下層から成層圏へ運ばれるかについての知識は、気候予測モデルをより正確にするために有用であり、また、オゾンを破壊するような物質がオゾン層が存在する成層圏へどのようにして運ばれるかについての知識は、オゾン層の将来の危機を理解するために不可欠である。ジョージア工科大学、JPL及びエディンバラ大学の研究者が、人口衛星より得た水蒸気濃度や風のデータ及びNASAの大気モデルを用い行った研究によると、水蒸気を大気下層から成層圏に運ぶ主要な要因はヒマラヤ山脈の北のチベット上空に発生する雷嵐であるとのことである。さらにこの研究によると、雷嵐や降水そのものはチベットよりはインドのモンスーン域のほうが多いが、チベットはインドより海抜がはるかに高いため、チベット上空の嵐は強力で高空迄到達し、水蒸気を成層圏へ直接送り込むとのことである。また、大気汚染の指標ともなる一酸化炭素については、チベット上空で大気下層から成層圏にインド上空と同じくらい多く運ばれるが、一酸化炭素はチベットでは生成されないので、これは東南アジア及びインド亜大陸上空で圏界面(大気下層と成層圏の間の層で高度はチベット上空で約18km)迄運ばれたものと考えられているとのことである。なお、ジョージア工科大学のFu氏によると、大気上層に運ばれた長寿命の汚染物質は速く移動できるので、アジアからの汚染物質が遠く離れた他の地域に到達するかもしれないとのことである。
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T○アメリカ、老朽船を魚礁にする際の汚染除去作業のガイダンスを作成(2006年5月9日、アメリカEPA)
アメリカEPAは老朽船を魚礁にする際の汚染物質除去作業に一貫性を持たせるために国としてのガイダンスを発表した。このガイダンスには老朽船を沈めて魚礁にする場合に、問題となるかもしれない物質についてどのような物が船にあるかもしれないのか、そのような物質は船のどこにあるのか、また、このような物質が海洋に放出された場合はどのような影響があるのかについて記述している。またこれらの物質についての清掃・除去達成目標及びこれらの目標を達成するための手法といった情報も含まれている。
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T○イメージング機器に対する新Energy Star規格の適用(2006年5月8日、アメリカEPA)
2007年4月1日より、ファックス、プリンター、コピー機やスキャナーといったイメージング機器に対する新しいエネルギースター規格(編注:エネルギースター規格は日本で販売されている機器類にも適用されている場合がある。詳細の日本語解説は-->ここ(財団法人 省エネルギーセンターのページ)<--をクリック)が発効となる予定である。この規格の変更によってEnergy Star規格は初めてスタンバイ時のみならず、使用時にも適用されることになるが、これによって典型的なホームオフィスでは製品寿命期間で300ドル以上の節約ができると予測されている。新しいEnergy Star規格準拠のイメージング機器は、そうでない機器に比べ平均で30%効率的で、この規格の改定により消費者は次の5年間で30億ドル以上節約でき、400万台以上の自動車からの排出に相当する温室効果ガスの排出を抑制できるとのことである。アメリカ全体ではイメージング機器は約2億7500万台稼働しており、これら全体によるエネルギー消費は総電力消費の2%と、相当のエネルギーを消費している。
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D○ウッズホール海洋研究所、新型の自律航行潜水艇のテストを実施(2006年5月8日、アメリカMarine Technology Reporter誌)
ウッズホール海洋研究所はこのたび新型の高速自律航行潜水艇Sentryの動作試験を5000mの深さ迄おこなった。Sentryは4翼で大きさはフォルクスワーゲンよりやや小さいとのことである。
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D○ウッズホール海洋研究所、無人深海潜水機用の極細ケーブルのテストを実施(2006年5月8日、アメリカMarine Technology Reporter誌)
2006年4月にウッズホール海洋研究所はマリアナ海淵で現在開発中の無人深海潜水機(Hybrid Remotely Operated Vehicle:HROV)に使用予定の直径250ミクロンの太さのデータ伝送・通信ケーブルのテストを行った。このケーブルは従来使用されてきたもっと太いケーブルに比べ抵抗が少なく、1万m以上の深さでHROVを操作するのに用いられるとのことである。
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D○中国、大深度潜水艇を開発中(2006年5月8日、中国新華社通信)
中国は7000m迄潜水可能な有人潜水艇を開発中で、2007年中に完成させる予定である。この潜水艇は3名搭乗可能で、最長12時間潜水でき、装備したマニュピレータで最大75kg迄のものを掴むことができる。
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T○アメリカ、珊瑚および珊瑚礁の魚の保護に乗り出す(2006年5月5日、アメリカNOAA)
アメリカの珊瑚特別委員会(U.S. Coral Task Force;ホームページは-->ここ<--をクリック)の会議で、珊瑚礁の魚を捕獲する際にシアン化物やその他の毒物が使用されていないかどうかを調査すること及び、2008年を「国際珊瑚礁の年」とすることが決定された。毒物を用いての捕獲を禁止している国は多いが、この方法による捕獲は世界中で広くおこなわれている。アメリカは現在観賞用の珊瑚礁の魚を最も多く輸入する国であり、アメリカに輸入される大半の珊瑚礁の魚も毒物を用いて捕獲されたと推定されている。この会議ではその他、珊瑚礁保全の各種プロジェクトに2480万ドル以上の資金が調達されていることが報告され、また、カリブ海で昨秋発生した深刻な白化についても報告があった。なお、NOAAはElkhorn珊瑚(Acropora palmata)及びミドリイシ珊瑚(Acropora cervicornis) を、ハリケーン、商業活動やリクレーション、陸地からの堆積物・汚染物質や水質の悪化によるダメージや病気、高温による白化等により絶滅の危機に瀕する可能性の高い品種に指定して保護に乗り出した。珊瑚が絶滅危惧品種に指定されるのはこれが初めてである。
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R○オゾン層を復旧させるための国際協定は効果有り(2006年5月4日、アメリカNOAA)
1987年のモントリオール議定書により世界中の国々は大気上層のオゾンを破壊する塩素化合物(CFCガス等)等の製造及び使用を制限し始めたが、このたびアメリカのNature誌に発表されたNOAAのWeatherhead氏およびデンマーク気象研究所のAndersen氏の論文によれば、オゾン層復旧の兆候が認められたとのことである。Weatherhead氏によれば、オゾンの生成、大気中での移動、破壊は常に起きており、オゾンを破壊するような汚染物資が減少するとオゾン層は自然に復旧するとのことで、NOAA、NASAやその他の世界中の監視ネットワークによれば大気中の塩素は減少しており、これに伴いオゾン破壊も減少しているのがこのたび明確になったとのことである。ただし、オゾン層の復旧はまだ初期段階で、これを確実なものと認めるためには、ただ単にオゾンの増加を確認するだけではなく、オゾンに影響を与える他の要素の変化も確認する必要があるとのことである。なお、オゾン量は現在でもすべての緯度で正常値以下であり、人々の紫外線からの保護はまだ必要であり、また、異常な高温や大規模な火山噴火などによりオゾン層の復旧が妨げられる可能性もまだあるとのことである。
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T○トラックのアイドリング時についてのモデルを開発(2006年5月4日、アメリカEPA)
アメリカのEPA(環境保護省;Environmental Protection Agency)は、トラックのアイドリング削減努力の強化、燃料消費の削減および産業界の遵守の向上について、各州でより一貫しかつ効果的な条例を制定する際に役に立つようなモデルを開発した。トラックのアイドリングは毎年10億ガロン(編注:1ガロンは約3.785リットル)以上の軽油を消費し、1100万トンの2酸化炭素、18万トン以上の窒素酸化物及び微粒子やその他の有毒物質を排出する。
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D○ブラックタイガー(エビ)の3代目の養殖に成功(2006年5月4日、オーストラリアCSIRO)
オーストラリア、クイーンズランドLogan川のエビ養殖場で世界で初めてブラックタイガーの3代目(自然より捕獲したエビから養殖したエビの子供)の収穫に成功した。これにより、エビ養殖は季節その他の変動がある親エビの漁獲に影響されなくなり、また養殖課程での選別により、品質の良いエビを出荷できるようになる。このプロジェクトは科学者、養殖業者及びオーストラリア政府共同で行われた。CSIROのPreston氏によれば、エビがカーペンタリア湾や。東部クイーンズランド沖のような自然環境で経験するような温度や餌といった環境を再現することが重要とのことである。
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R○太平洋赤道域での風が地球温暖化により減衰(2006年5月3日、アメリカUCAR)
UCAR(University Corporation for Atmospheric Research)のVecchi氏が観測データ及び数値モデルを用いて行った研究によれば、太平洋赤道域の貿易風が17世紀中期より3.5%弱くなり、2100年迄にはさらに10%弱くなるかもしれないとのことである。貿易風はウォーカー循環と呼ばれる太平洋の赤道域で、大気が西部で上昇し、数千m上空を太平洋の東岸まで東に進むと同時に沈降し、沈降した大気が海洋上を西に進む大気大循環の一部で、この大循環に伴い、太平洋赤道域西部では大量の降水が起こり、また海洋ではこの貿易風によって赤道付近の東西の広い海域で表層で西向きの流れが生じ、東部沿岸域では表層に海洋生物にとって重要な栄養塩が下層から供給される。このウォーカー循環の減衰は温室効果ガスの増加に伴う温度上昇により西部熱帯太平洋域での蒸発量が増加し、大気下層への水蒸気供給が増加するが、降水の増加がそれに追いつかず、また、大気上層へ運ばれる水蒸気量は降水量とバランスしていなければならないので、大気下層で増加した水蒸気量の分、大気下層から上層への大気そのものの上昇が減衰し、これに伴いウォーカー循環全体が減衰する。Vecchi氏によれば、観測されたような17世紀中期からの風の減衰は人類の活動に伴う温室効果ガスの増加を除くと生じないとのことで、また、風の減衰に伴う海洋の流れの減衰はパーセント値では2倍近くなり、このような変動は海洋の生態系に重大な影響を与える可能性があるとのことである。
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D○塩水淡水化新技術の進展(2006年5月3日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
国連環境プログラムによれば、世界中の人口の1/3は淡水が不十分な国で生活している。このため海水の淡水化に対する要求は拡大しているが、現在普及している逆浸透法による淡水化は高圧が必要で、それに必要なエネルギーにより通常の水道水処理に比べ2倍以上のコストがかかる。また、内陸域で塩水の淡水化を行う場合は淡水化後に残された高塩分の塩水の適切な処理のコストも必要となる。このため、淡水が不十分な多くの国にとっては逆浸透法による塩水の淡水化は経済的に困難である。この問題に対処するため、イェール大学のElimelech、McGinnis及びMcCutcheon氏は淡水にアンモニア及び2酸化炭素を加えた溶液と海水とを浸透膜で隔てることによって海水から淡水を溶液側に浸透させた後、この溶液を加熱してアンモニア及び2酸化炭素を取り除いて淡水を得るという新技術を開発した。この際に回収されたアンモニア及び2酸化炭素は再利用される。この方法では現在95~99%の塩分が除去できるが、飲用水の場合は塩分除去率は99.9%にならなければならない。この方法はまだ試験段階であるが、現在使用しているものより良い浸透膜を使用した場合、この方法によって塩水中の水の75%(典型的な逆浸透法では35~50%)が取り出し可能であり、また、この方法に必要なエネルギーは非常に少なくて済むとのことである。ただし、現在は試験システム中で溶液を加熱してアンモニア及び2酸化炭素を取り除く蒸留塔の部分のパフォーマンスについては未評価とのことである。
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T○アメリカとEUは車載エアコンからのフロンガスの漏出について合意(2006年5月3日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカのEPA(環境保護省;Environmental Protection Agency)、欧州委員会及びカリフォルニアの大気資源委員会(Air Resources Board)間の合意より、車載エアコンからのフロンガスHFC-134aの漏出について、グローバルな試験検査基準をEUの法律に合わせるプランが作成された。この合意に基づき、現在Society of Automotive Engineers(SAE)によって冷却剤が漏出する早さを検知する新しい検査法が作成されている。この件に関するEUのディレクティブでは新車におけるHFC-134aの使用は2011年の1月迄にフェーズアウトさせ、新車への冷却剤の完全な使用禁止は2017年1月に発効となっている。また、このディレクティブにより、エアコンの検査、古いエアコンからのガスの回収、ラベル貼付や冷却剤取扱者のトレーニング及び資格認定についての基準が導入される。SAEの基準は強制ではないが、将来の法整備の際に目安として用いられると考えられ、実際欧州委員会は世界各地でこの新しいHFC-134aに関する基準が採用されると予想している。EPAのTaddonio氏によれば、アメリカは現在国家としては車載エアコンからの温室効果ガスの漏出の許容値を規定する基準がないが、カリフォルニアは独自に州として自動車からのすべての温室効果ガスの排出について上限を設定しており、自動車製造会社にとってはエアコンからの温室効果ガスの排出を減らすのはこの規制への対策の選択肢の一つであり、また、ワシントン州やオレゴン州のように他の西海岸の州の一部も同様の法律の制定を考慮中とのことである。
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T○気候変動に関する報告書における大気の温度上昇に関するデータとモデルの差異を訂正(2006年5月2日、アメリカNOAA)
観測データによれば、従来は地表と大気上層で気候変動によるグローバルな平均温度の上昇率に違いがあるとされていたが、この点については気候変動の研究に用いるモデルの結果と異なっていて、このためにモデルの正当性に疑問が呈されていた。しかし、このたび新しいS&A報告書1.1が、アメリカの気候変動科学プログラムによって、人工衛星によるものや、その他の温度データ含まれていた誤りを訂正後発表されたが、この報告書によれば、このような地表と大気上層でのグローバルな平均温度の上昇率の差はもはや明確ではなくなったとのことである。NOAAのKari氏によれば、この訂正により、異なる観測システムの間の値の差や、対流圏(編注:地表から非常に大雑把に10km程度の高さ迄。この層内では温度は高さとともに減少する)と成層圏(編注:対流圏の上から50km程度迄)の温度変化を浮き彫りにすることができたとのことである。また、モデルとデータとの差異が小さくなり、観測された気候変動およびその原因に関しての我々の理解(編注:理論やモデル結果などに基づいた仮説)に対する自信が深まり、また、人類がグローバルな温度上昇に対し温室効果ガス、浮遊粒子や成層圏中のオゾンによって重大な影響を与えている明白な証拠が示され、これは政策決定者にとっては重要な情報となるであろうとのことである。ただし熱帯域では理論やモデルとデータの間に差異があり、この原因についてはまだわかっていないとのことである。なおS&A報告書1.1は政治家が政策決定の際の参考にも用いることができるような報告書である。
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-->S&A報告書1.1(166ページ)がダウンロードできるページに移動<--

R○チベット高原の氷河、地球温暖化により縮小(2006年5月2日、中国新華社通信)
中国科学院のDong氏によれば、中国全体の氷河の47%を占める”世界の屋根”チベット高原の氷河は年7%の割合で縮小しているとのことである。また、同氏によれば、氷河の融解により干ばつが増え、砂漠化の拡大や砂嵐の増加を招くとのことである。国家気象局のHan氏によれば、地球温暖化によりチベット高原の砂漠が拡大し、チベットの平均気温は1980より0.9C高くなり、氷河やツンドラの融解が加速されているとのことである。
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T○アメリカNOAA温室効果ガス指標を発表(2006年5月1日、アメリカNOAA)
NOAAは5月1日に温室効果ガス年間指標(AGGI)を発表した。AGGIは2酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、CFCおよびCFC置換ガスの大気中での量の分析および、これらのガスそれぞれの温室効果への影響度を基にしていて、1990年に大気中に存在した温室効果ガスのレベルを1.0としている。2005年のAGGIは1.215となっていて、全体としては温室効果ガスは確実に増加している。ただし、メタンの量は1990年以降比較的安定しており、ほぼ平衡状態にあると見られ、CFCについては減少し続けている。1990年以降の温室効果の増大の大半は2酸化炭素によるもので、現在は約62%の温度増加の影響を持っている。2酸化炭素は2004年から2005年では世界全体で平均376.8ppmから378.9ppm迄増加した。なお。産業革命前ではこれは約278ppmだった。AGGIの増加の最大は2.8%で1987年から1988年の間に起きており、最小は0.81%で1992年から1993年の間に起きた。2005年中の増加は1.25%で、これは比較的低いとのことである。
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